比べてみたら私と桜さんの差は歴然。



だけど……。



「嫌だ……」



勝手に零れた言葉が私の本心。



もう、私の気持ちに嘘はつけない。



クールで塩対応だし、私のドジを笑ってくるし。



私が寧音くんと話してたら、じとりと見てきて強引に引き剥がしてくるし。



失礼なことを当たり前に言ったりもしてくる。




それなのに私が困ってる時にいちばん早く駆けつけてくれる。



不器用な優しさをたまに見せてくれる哀に、私よりも大切だと思う女の子がいるかもしれないということに、私は胸が痛くて仕方がない。




この痛みが気持ちを認めろって言ってるみたい。




私はこの気持ちに気が付きたくなかった。



「好き……」



私の気持ちを表した言葉が、部屋に小さく響いた。



私は、ずっとずっと前から哀が好きだったんだ。