その温かさに二度目だけど安心する。



「ありがとう、哀」



小さく呟いた声は多分届いてない。



「……ああ、うん。だから明日……うん。じゃあ"桜"は……」



哀がスマホ越しに話す相手の人の名前。



哀が呼んだ"桜"という人の名前に、心臓がばくん、と大きく鳴る。



スマホ越しに聞こえる声は、女の人って感じの高い声で、すごく可愛らしい。



もしかしてあの時の女の子?



親しげに話している女の子なんて、あの子以外知らない。



「哀、その女の子って……」



『ん?今近くで女の子の声した?』



「大切なやつの声」



『あーそう。了解。じゃあまたねー』



軽く大切なやつの声だって言ってくれた哀にドキドキしながらも、嫌な想像はどんどん大きくなる。