驚いてすぐに哀から離れる。



「気づいてる?紫乃の顔真っ赤」



「み、見ないで!!」



顔を覗き込むようにずいっと近づいてきた哀を、私は手で突き飛ばす。



ドアに哀の背中が当たって哀の不機嫌オーラが丸出しに……。



「ごめんって。でも紫乃が可愛いのは本当だから」



可愛いのが本当って……、そんなの嘘にしか思えないっ……。



だけど本当なんだったらすっごく嬉しい。



本当だったら、哀は私のことをどう思っているんだろう。



もしも私の事……、そ、そんなわけ無いけど……!



もしもそうだったら。



哀が私のことを好きだった時のことを考えると、今までにないくらいバクバクと心臓が跳ねた。