一秒すら悩まずに助けようと考え、困っている人の所へ駆けつけて行ったのは、いつものドジで可愛い紫乃じゃなくかっこよかった。



『え……重!?』



『私ねぇ、こう見えて力持ちだから無理して持ってきてしまって……。持たなくても全然大丈夫だよ』



『おばさん、俺が全部持ちます』



重そうな荷物を紫乃とおばさんに持たせる訳には行かない。



紫乃と俺のカバン、そしておばさんの荷物を持つと結構な重さがある。



『やっぱり私が持つ!貸して!』



『紫乃に重いものなんて持たせねぇよ』



無理して怪我されるより、俺が多く持って怪我した方がマシだ。



好きな女に怪我させるなんて、それこそ有り得ない。