すると哀が手首を掴む力を強くしてきたんだ。



ギュッと締め付けられて、さっきよりも痛みが増す。



「ぎゃっ!痛い痛い!ばか力じゃんっ」



「紫乃があいつといるのが気に食わない」



え……それってもしかして。



ニヤニヤと口角を上げ、不機嫌な顔をする哀を下から覗く。



「もしかして哀、嫉妬してた!?」



「ばか。そんなわけないだろ」



頭を小突かれて、すぐに否定された。



うーん……でもそんな感じに見えた。



もう一度哀を見ると、耳と頬が少し赤くなっているのが見えた。



「えっ」



「何」



「何も無い」



やっぱり嫉妬してるのは気のせいじゃないと思う。



だって赤くなった頬と耳が、不機嫌な態度と口調が……そう言っている気がしたから。



そう思うと、胸が締め付けられ、きゅんとした。



こんな態度をする哀は全然見た事ない。



新鮮な哀の態度に、私は手を引かれながらドキドキしていた。



私、最近変だなぁ……。