そう思いながらも、無我夢中で廊下を走っていたら、周りの人たちが私を見ていることに気がついた。



走っているからか、同居しているという噂を聞いたからなのか、それとも違うのか分からないけど、ただひたすらに走る。



「紫乃お前待てよ！廊下走んな！」



「寧音くんも走ってるじゃない！追いかけてこないでよー！」



「お前が逃げるからだろ！」



「ぎゃー！」



生粋の運動音痴である私は、寧音くんの瞬足ですぐに捕まってしまった。



ぜぇぜぇと肩で息をしながら、二人で階段の影に隠れる。



二人でいることが誰かにバレたら、同居の噂の件もあってもっと騒ぎになってしまう。



だってこんなイケメンの寧音くんと、全然可愛くない私だったら釣り合わなさすぎて、ネットなら大炎上しちゃってるよ……あはは。


って笑い事じゃないけど。