「千歳は、何かやりたいこととかあるのか?」
「えっ?」
唐突すぎたのだろうか。
雑談をしながらも遠くを眺めていた瞳に僕の顔が映る。哀愁のようなものが感じられた。聞いては、いけないことだったのだろうか。
「いっぱいあるよ。死ぬまでにやりたいこととか書いたりしてるし」
「そう、なんだ...」
また、彼女は遠くを見ていた。
いや、物理的に見ている訳ではない。彼女は、時々意識がどこかへ飛んでしまったかのようにいなくなる。まだ出会って数十分だが、そういう場面が何回かあった。
「でも、もうできないよ」
「それは、ここにいるから?」
「うん。人に協力してもらえれば出来るものは何個かあるけど...」
僕はそこで何かが弾けるような音がした。
「それ、手伝わせてよ」
「え、いいの...?」
「ああ。できるものなら何でも」
「ホント!?」
小学生が冷蔵庫の中にあるケーキを見つけた時のようにその大きな瞳を輝かせている。少しだけ、心の奥に刺激が走る。
僕は、千歳の期待に沿えるように頑張らなければ。
「なら、早速この夢叶えてもいい?」
「どんなの?」
「それは...」