それから夜は興奮や抑揚で中々寝付けず、珍しく寝坊してしまう。

「お兄ちゃんが寝坊って珍しいね」
「ごめんごめん。結菜、準備はできてるか?」
「うん!今日は国語と、算数と、音楽と…」

 結菜の朝ごはんを速攻で作っていると美雨から連絡が来る。

✉️ 瑛翔くん、今日は何時に出るの?

     寝坊したから昨日より遅くなるかも ✉️

✉️ あらあら

            弁当作るのは諦めた ✉️

✉️ 購買?

                   そう ✉️

 結菜の朝ごはんを作り終え、僕は適当にパンをかじり、満員電車に巻き込まれたくなくてダッシュで家を出る。
 体力に自信がある訳では無いため、すぐに疲れた。

 なんとかいつもの電車には乗れたが、いつもより電車での時間が遅く感じられた。

✉️ 学校行ってくるねー!

 念の為に学校にお願いして携帯を持たせている結菜から連絡が来る。
 小学生に朝の戸締まりをお願いするのは気が引けるが、僕も父も早めに出るので仕方ない。

 電車がホームに着き、一目散にエスカレーターに乗る。今日だけは青木と香坂に見つかりたくない。

✉️ 瑛翔くん、私は着いたよ

             今電車降りたとこ ✉️

 美雨と1文だけメールを交わし、教室へ向かった。