千歳と日が暮れるまで喋り屋上で星空を眺めたりしているとそろそろ面会終了時刻が来てしまう。
「今日はありがとな」
「楽しかったね」
「ああ。明日も学校来るんだよな」
「行くよ。明日もよろしくね」
「ああ。じゃあな」
彼女の病室から出ようと椅子から立ち上がった時、千歳に腕を掴まれる。
「待って...」
「千歳...?」
なぜか今にも泣きそうな顔で涙が出てしまわないかそわそわしてしまう。
もうこれ以上泣かないでくれ。本人は知らなくとも、余命は涙で削られてしまうのだから。綺麗に見えて、星の涙は自分で自分をあの世へ近づけてしまう怖い物質なんだ。
「疑似恋人、やめていい...?」
「えっ?」
なぜ、そんな急に...
僕はもう、千歳と会えなくなるのか?僕は千歳に嫌われたのか?僕は...
「いゃ...」
「疑似は、嫌なの...」
「えっ...」
疑似は嫌ということは...期待して、いいのだろうか。
「それって...」
「私、瑛翔くんのことが好き...家族は何も見てくれないのに、瑛翔くんは違ったもん...」
「...」
僕の想いは真っ直ぐに彼女の元へ行く。気がついた時には、僕はもう彼女を腕に引き寄せていた。
「え、瑛翔くん...」
「喜んで」