もう見慣れた教室からの景色。
 今まで僕より先に教室に来ているクラスメイトはいない。

 僕は青木や香坂と絡んでいなければ基本的に『陰キャ』だ。別にそれはどうでもいい。
 僕があまり人と関わらないことには理由があるから。

 だからこそ、今でもあの時千歳のことを引き受けたということに自分自身で驚いている。

✉ 瑛翔くん、今日病室来れる?

 千歳からのメッセージを早く返信するためにも2人を巻いてきたと言っても過言ではない。

 今日はあいにくシフトが深夜まで入ってしまっていた。
 本当は千歳と話したい気持ちが山々だが、今日はどうしてもいけない。未だに新しいクラスで青木達のような友達には巡り逢えていない。だから実際、このクラスで1番仲が良いのは千歳だ。

✉ 明日は絶対来てね

 愛らしいメッセージに顔がほころぶ。
 この感情が何を意味しているのかはよく分からなかった。

 我を忘れるほどに僕の中で千歳の存在は大きくなっていた。