「で、やりたいことって?」
「えっとね、行きたいところがあるの」

 千歳が言い出したのはプラネタリウムだった。
 僕の最寄り駅からは乗り換えを含んで10駅行ったところにある。
 都会に出なければならないため正直、結構面倒。

「プラネタリウム、行ったことないの。小学校の遠足でいけるはずだったのにその日に限って熱出しちゃったせいで…」

 前言撤回。
 悲しそうな顔で俯く千歳になにか言葉はかけられなかった。

「じゃあ、行こうか。どっちがいい?」
「どっち…?」
「日程。1日目か2日目か」
「1日目!」
「わかった」

 弾けるような笑顔、というのだろうか。この表情。

「約束だよ。指切りしよ?」
「なんでだよ」
「約束する時は指切りしなきゃ」
「子供か」

 来月が楽しみになった。