電車を降り改札を抜けた時、ポケットに入れていたスマホの通知が鳴った。


✉ ͗ ͗ 外出許可出たよ
           良かったな。いつ? ✉ ͗ ͗
✉ ͗ ͗ 来月の最初の土日
             予定あるのか? ✉ ͗ ͗
✉ ͗ ͗ 見事に家族全員予定が…
                まじかよ ✉ ͗ ͗
✉ ͗ ͗ 擬似彼氏裙、暇?
                暇だけど ✉ ͗ ͗
✉ ͗ ͗ じゃあやりたいこと手伝って
                わかった ✉ ͗ ͗

✉ ͗ ͗ やったー!
✉ ͗ ͗ また明日病院で話そ!
                  了解 ✉ ͗ ͗


 外出許可が出た日に家族全員予定か…

 なんだか、どこまでも千歳が可哀想に見えてしまう。さっきの速水の話に共感してしまう自分がいた。
 きっと千歳は同情なんてされたくないだろうけど。

 外出許可があまり嬉しそうじゃなかった理由って家族が用事だと分かっていたから…?

 僕は千歳を家族の代わりに楽しませるという使命が出来たということだろうか。これは、速水に相談するべきなのか僕の独断でいいのか。


✉ ͗ ͗ 美雨、外出許可出たって


 速水からもLINEが来る。軽く返信をしてまたスマホをポケットに入れる。

「お兄ちゃん!おかえり!」

 駅まで来ていたらしい結菜と手を繋ぎながら夕暮れの道を歩いていた。