学校に着くと、生徒玄関の前で教師たちがクラス替えの紙を配っている。3人で一斉に紙を見ると、案の定僕だけクラスが違っていたが、理由は分かりきっている。
「日向、選択何選んだの?」
「美術と情報科学」
「うわっ。俺には到底行けない世界だな」
2人は同じ選択をしたらしい。全く、惚気もほどほどにしてほしいものだ。
「じゃあな、日向」
僕の新しい教室の前で2人と別れる。
いつも通り、教室には一番乗りだった。自分のネームプレートが置いてある机を探し当て、そこに荷物を置く。ひと段落すると、確認していなかったクラスメイトの名簿を見てみる。
情報科学の選択クラスだからなのか、3年7組以降の人数は他よりも少ない。この人数ならすぐに顔と名前は一致するだろう。
窓際の席から校舎横の川を眺めてみる。無数の花弁が水面を桜色に染める。それらは大海原へと向かって流れていく。確かそれを桜流しと言った。
古今和歌集の撰者である紀貫之は桜のことを「空に知られぬ雪」と表現したらしい。
あの2人にも言っていないことだが、僕は昔から桜を眺める事が好きだった。
「日向、選択何選んだの?」
「美術と情報科学」
「うわっ。俺には到底行けない世界だな」
2人は同じ選択をしたらしい。全く、惚気もほどほどにしてほしいものだ。
「じゃあな、日向」
僕の新しい教室の前で2人と別れる。
いつも通り、教室には一番乗りだった。自分のネームプレートが置いてある机を探し当て、そこに荷物を置く。ひと段落すると、確認していなかったクラスメイトの名簿を見てみる。
情報科学の選択クラスだからなのか、3年7組以降の人数は他よりも少ない。この人数ならすぐに顔と名前は一致するだろう。
窓際の席から校舎横の川を眺めてみる。無数の花弁が水面を桜色に染める。それらは大海原へと向かって流れていく。確かそれを桜流しと言った。
古今和歌集の撰者である紀貫之は桜のことを「空に知られぬ雪」と表現したらしい。
あの2人にも言っていないことだが、僕は昔から桜を眺める事が好きだった。