「・・・って、こんな話されてもつまらないよね。ごめんね」
「いいよ。別に」

 新しい考えを知ることができた、とは言わなかった。

「そういえばね、来月もしかしたら2日間だけ外出許可が出るかもしれないの」
「よかったな」
「うん…」
「千歳?」

 元気、ないのか…?
 普通、外出許可が出たら喜ぶものなのかもしれないって思っていた。だからなぜ悲しそうな顔なのかが分からない。

「あ、ごめんね。暗い顔、してたよね…」
「なんかあった?」
「いや、特に。大丈夫だよ」

 愛想笑い、苦笑い、どちらが正しいか分からないが彼女はそんな顔をする。

「外出許可出た時、協力してほしいことがあるの」

 恋人のフリとして、僕は千歳に振り回されることになった。