「おはよう、日向」

 今日も毎員電車に揺られ、気分の悪い朝を過ごす。
 ただでさえ早めであるというのにあと1本遅れれば僕は圧死してしまう。

 青木と香坂は今日も2人で登校。

 去年まで、その中に僕もいたのにと寂しくなるかと思ったが、特に何も思わなかった。

「おはよう。青木と香坂」
「お前、千歳さんと同じクラスなんだな」
「そうだけど?」
「昨日のこと、噂になってるよ」
「は?」

 ニヤニヤしながら僕の方を向く2人。
 昨日、なにか嫌らしい事したか?

「千歳さんのとこ行ったんだろ?」
「そうだけど、それが?」

 特に変な事だとも思ってないが。実際、誰も手を挙げなかったわけで。
 そのままそれを言うと2人は驚いたような顔になる。一体、なんだと言うのか。

「千歳さんの噂、知らないのか…?」
「は?」

 余命のこと、まさかバレてるのか?そんなわけ、無いはずだが。