保健委員だったんだ。そういえばこの前、委員会の集まりがあったって言ってたっけ。


「ふーん、そりゃありがとな」


 椿はなんだか訝しげに藤宮くんを見て、そうお礼を言った。


「なんで三浦にお礼言われなきゃいけないのかわからないけど」


「そりゃ、美音が世話になったからな」


「お前、過保護すぎないか?佐藤の親かなんかか?」


「はぁ?別に過保護なことねえだろ。俺はただ美音が大事なだけで…」


「佐藤さん」


 椿と藤宮くんがまたもや言い合っている中、心配そうに声をかけてきたのは菅原先輩だった。


「菅原先輩」


「大丈夫?さっき、怪我してたみたいだったから」


 私が競技中に転んだのを見て、わざわざ来てくれたみたい。


「もう全然大丈夫です!」


 私の返事に菅原先輩はにこりと笑った。


「よかった。佐藤さんになにかあったらと思うと、気が気じゃなくて」


「菅原先輩も心配しすぎですよ。ただ転んだだけなのに」


 こんなふうに心配してくれる人がいるのはもちろんうれしくはあるけれど、みんなに申し訳なかったな…とも思う。


 今後は怪我に気をつけなきゃ。


 ふと藤宮くんと目が合って、私はあわてて視線をそらしてしまった。


 これから藤宮くんとどう接したらいいんだろう…!


 ますますわからないよ…!



 私にとって波乱の体育祭は、こうして幕を閉じた。