「ゆきのーん!がんばれー!」


 桜ちゃんが雪乃ちゃんを応援をしてると、桜ちゃんの目の前に一人の男子生徒がやってきた。


 桜ちゃんの幼なじみの、如月 柊くんだ。


「桜、ちょっと来て」


「へっ?」


 桜ちゃんがきょとんとしているうちに、その手を引いて走って行ってしまう。


 私も同じようにきょとんと二人を見つめてしまった。


 桜ちゃんと如月くんは、手をつないでゴールテープを切っていた。


「ひゃあ~っ!」 


 私は口元に手をあてて、静かに興奮した。


「よかったね…!桜ちゃん!」


 桜ちゃんは幼なじみの如月くんが好きなはず。桜ちゃん、うれしかっただろうなぁ。


 私はにこにこと二人の様子を見つめる。


 ゴールしたあとも、二人はなにか話していて、桜ちゃんの照れたよう表情が見てとれた。


 友達がうれしそうにしているのを見ると、こっちまでうれしくなっちゃうよ。


 私がにっこりしていると、私の目の前に二人の男子生徒がやってきた。


「美音!」


「椿?」


「佐藤」


「藤宮くんも!」


 椿と藤宮くんがあわてたように私の方にやってきた。


「二人とも、そんなにあわててどうしたの?」


 私がのほほんと聞くと、二人は私の腕を掴んだ。