午前中のサッカー部の練習が終わって、私はショッピングモール近くの住宅街へとやってきた。
そこから少し歩いて、菅原先輩はとある一軒家の前で足を止めた。
「ここだよ」
「ここ、は…?」
建てられたばかりのようなレンガ造りのきれいな一軒家。
玄関の前に、なにか立て看板がある。
「『cat café(キャットカフェ) もふもふ』……、ねこカフェですか!?」
「うん、そう」
ねこカフェ…!よく雪乃ちゃんから話に聞くねこカフェ!
雪乃ちゃんはねこが好きで、近所にあるねこカフェに通ってるって言ってた。
「ねこカフェって、ねこちゃんに触れたり遊んだり、スイーツを楽しんだりできるって聞いたんですけど…!」
私がわくわくしながら菅原先輩に詰め寄ると、先輩は笑顔で返してくれる。
「うん、できるよ」
「わー!!」
私の喜びように、菅原先輩はすごくうれしそうだった。
「佐藤さん、最近なにか悩んでるみたいだったから、少しでも元気が出るといいな、と思って、ここに連れてきたんだ」
「わわ、気を遣っていただいてすみません…でもとってもうれしいです!」
「よかった」
「中に入ろうか」、そう言って菅原先輩はドアを引いて、私を中に通す。
からんからん、と涼やかなドアベルが鳴って、私は店内に入った。