帰宅した私は、ベッドに寝転んでぼーっと部屋の天井を見上げていた。


 「俺を意識すればいい」、そう言った藤宮くんのからかうような表情が忘れられない。


 どうしてあんなことしたんだろう…?


 おでこにキス、なんて……。


「ひゃーっ!!!」


 思い出すだけで、また熱が上がりそう…。


 男の子にあんなことされたの、はじめてだよ。


 少女漫画とかならよく見るけど、まさか実際自分の身に起きるなんて…!


「藤宮くん、私のこと好き…、とか?」


 口に出して、それは絶対にない!と思った。


 だって私たちはまだ出会ったばかりだもん。たしかに一目ぼれとかはあるのかもしれないけど、私を一目見て好きになるような人はいないだろうし…。


「ううーん…じゃあなんであんなことしたんだろう…?」


 疑問はふくれあがるばかり。


 やっぱりからかわれた、っていうのが正解な気がする。


 今日の藤宮くんはなんだかいじわるだったし。


 そうだ、きっとそうに違いない!


 私はひとまずそう結論づける。


 脳裏に焼きついて離れないさっきの出来事を、私は頭を振って追い払った。