あれはたしか、小学一年生の頃。


 私はこのしろくまのキーホルダーがお気に入りで、ランドセルに付けていたんだ。


 毎日いっしょに登校して、毎日いっしょに勉強した。


 小学一年生の頃は、まだお友達とうまくお話できなくて、私の親友はこのしろくまのキーホルダーだった。


 そんなある日、私はこのしろくまのキーホルダーを落としてしまった。


 家に帰ってからそのことに気がついて、私はあわてて通学路を戻った。


 歩いてきた道を探したけれど、全然見つからなくて、その日の私は泣きながら帰ったっけ。


 次の日も探してみたけれど、やっぱり見つからなかった。


 毎日泥だらけで帰ってくる私を見て、お父さんお母さんはまた同じようなものを買ってくれると言ってくれたけど、それじゃだめなんだ。


 私といっしょに過ごしてきた、あのしろくまのキーホルダーじゃないと。


 それに、大事な想いもこもっているから。


 キーホルダーを探して3日くらい経った時だったかな。


 一人の男の子が私に声をかけてきたの。


「まだ探してんの?」


「え?」


 振り向くとそこには、私と同い年くらいの眼鏡をかけた男の子がいた。


 前髪が長くて、眼鏡をかけていて、表情がまったくわからない。