「それにしてもみおちんは、また三浦くんと登校ですかぁ?」


 桜ちゃんがにんまりと笑いながら私を見る。


「幼なじみだからって、そんなに仲良いもん?」


「仲良いよ。桜ちゃんだって、幼なじみの如月(きさらぎ)くんと仲良しでしょ?」


「ま、まぁ、そうかもだけどぉ…」


 桜ちゃんは幼なじみである、如月 柊(きさらぎ しゅう)くんに恋をしている。


 如月くんのことを話す桜ちゃんはとってもかわいくて、恋してる女の子~って感じ!


 私はまだ恋をしたことがないけれど、その姿を見てるといいなーって思っちゃう。


 恋ってどんなものなんだろう?


 いつかは私も、恋をするのかな?


「はーい、席についてくださーい」


 チャイムが鳴って、担任の先生がやってきた。


 私たちはあわてて自分の席に座る。


「あれ?椿、私の前の席!?」


「そう!今年もよろしくな!」


「うん!」


 前の席の椿と小声で話しながら、私たちは教卓の方に意識を向ける。


 担任の先生は、去年国語を教えてくれていた餅月(もちづき)先生だった。穏やかで優しい先生なんだ。


「このクラスの担任の餅月です。去年から国語を教えているので、みんな顔見知りだと思います。先生の自己紹介はこの辺で、今日からこのクラスに入る、転入生を紹介します」


 あ、椿が今朝話してた転入生…!


 うちのクラスに来るんだ…!


 教室中が少しざわついて、私たちは入口の方に目を向ける。


 入ってきたのは一人の男子生徒だった。