しばらく泣き続けた女は、あれから5分くらいしてから落ち着いていた。


ったく、なんだってんだよ。

俺もなんでほっとかなかったんだよ。


「すいませんでした」

「別に」


「もうそろそろ帰るから」

「え…?」

「帰らないのか?」

「あ、いや…帰ります…」


困惑してる女をほっておいて、事務所に行く。

後輩に「あの女に、店前で待ってろと伝えてくれ」と伝言を頼み帰り支度をした。


店前に行くと、ソワソワしながら待つ女はどこか寂しそうで仕方ない。

そんな女を、通ってく人たちは「どうしたんだろ?」って言いながら素通りして行く。


どうしたのかって思うなら話しかけて聞けばいいのに。

どうしたんだ?って言うだけ言って素通りしてく奴らはクソだな。


「待たせたな」

「……いえ」


暗い女はただ下を向き、何を考えてるのかがわからねぇ。

わかることは、さっきよりも暗くなっている。


「こっち」


俺は理由も聞かず、女の腕を掴み俺の家に向かって歩き出した。