そんなことを思いながら片付けを済ませ、廊下に出る。



メイドカフェの手伝いでもするか・・・。



そう考えながら、自分のクラスに向かっている時、私のクラスの前に茂木さんがウロウロしているのに気がついた。



その姿を見てドキッとしてしまう。



あぁ・・・末期だな。



「茂木さん、何してるんですか?」



「あっ、由紀ちゃん!良かった、探してたんだ」



私を見るなり、小走りで私に駆け寄ってくる茂木さん。



私を探してた・・・?



それってもしかして──



「な、なにか用事ですか?」



「うん。今時間ある?良かったら一緒に文化祭回らない?」



「・・・良いですよ、別に」



茂木さんが誘ってくれたという事実が嬉しすぎて、顔が緩んでしまうのを何とか押さえ込んで返事をする。



茂木さんから誘ってくれるなんて思ってなかったから・・・すごく嬉しい。



内心でガッツポーズを取りながら、茂木さんと並んで歩き出す。



「それにしても、かなり人集まってるね。はぐれないように気を付けてね」



「子供じゃないんで平気です」



「アハハ、そうだね」



私のトゲのある言葉にも笑って答えてくれる茂木さん。



文化祭で回ろうって私に言ってくるってことは、彼女はいないんだよね。



好きな人とか・・・いないのかな。



「由紀ちゃん、考え事?」



「っ・・・!?いえ、別に・・・!」



私の顔をのぞき込むようにして見つめてくる茂木さんにビックリして息を飲む。



この人、距離感近いんだよな。



ドキドキするからやめて欲しい・・・。



「そう?ずっと黙ってたからどうしたのかと思って。・・・もしかして、さっきの劇のこと、気にしてる?」



「え、劇?」



「ほら、二海と茉弘ちゃんが・・・」



その言葉を聞いてハッとする。



もしかして茂木さん、私がまだ二海くんのこと好きだと思ってる・・・?



「いえ、別に気にしてません。二海くんのことは吹っ切れましたので」



「・・・そうなの?」



「はい。だから、気にしてません」



今気になってるのは、あなたです。



なんて、そんなこと言えるはずもなく・・・。



「・・・そっか、良かった」



安心したような、嬉しそうな・・・色んな感情が混ざりあったような笑みを浮かべている茂木さん。



もしかして、ここに来てくれたのって・・・私が傷付いてるかもしれないから・・・だったのかな。



それはそれで嬉しいけど・・・なんか、複雑。



私のことが気になってて誘ったってわけじゃないんだ。



茂木さんの行動に一喜一憂してしまう自分が嫌になる。



純粋に文化祭を楽しみたいのに・・・。