茂木side
2月14日、バレンタイン当日。
皆がチョコを欲しているなか、俺は差し出されるチョコを断り続けていた。
「なぁ、要。お前、なんでチョコ受け取らねーの?めっちゃ渡されてんのに」
仲のいい男子が席に座りながら不思議そうに問いかけてくる。
俺だって、受け取れるなら受け取りたい。
実際、去年まではそうしてたし。
だけど、今は──
「今年は好きな子からしか受け取らないって決めてるんだ」
「えっ!?なになに、要って好きなやついんの!?」
「まぁ・・・いるよ」
頬を掻きながら素直に答える。
誰かまでは教えないけど。
「へぇー。で?その子からはもらえそうな感じ?」
「そうだね・・・去年ももらったし、今年も用意してくれるんじゃないかな?」
あくまで、俺の希望的観測だけど。
「ふぅん。ま、頑張れ。俺は他のクラスに行ってチョコねだってくるわ」
そう言ってくれた友人は、立ち上がって隣のクラスにチョコをもらいに行ってしまった。
だけど、どれほど待っても由紀ちゃんはチョコを渡しには来ず・・・部活が始まる時間になってしまった。
渡すタイミング、逃しただけなのか・・・それとも、渡す気がないのか。
だけど・・・由紀ちゃんのことだから、用意はしてくれてそうなんだよな。
希望的観測でしかないけど、そんな気がした。
そういうのもあって、部活が終わる時間まで待ってから差し入れを持って部室まで足を運ぶ。
2人共まだ帰っていなかったみたいで、会うことはできた。
ピザまんを茉弘ちゃんに渡していると、由紀ちゃんから声をかけられる。
手を後ろに回して、何かを隠している様子の由紀ちゃんに、俺はすごく期待した。
チョコ・・・もらえるかな?
そんなことを考えたけど、その場では渡してもらえなかった。
まぁ、茉弘ちゃんもいたし、渡しづらかったのかな?
そう考えて、2人きりになれる状況を作った。
だけど、いまだに渡そうとしない由紀ちゃん。
体の後ろに何かを隠しているのに、だ。
しびれを切らした俺は、バレンタインのことを話題に出す。
今年もらったチョコが0個だということも、もらえるかもしれない子がいるということも。
すると、由紀ちゃんは自分の背中に隠していた何かを俺の目の前に突き出してきた。
それは、可愛くラッピングされた手作りチョコだった。
良かった・・・貰えた。
でも、これって・・・本命?
本命だったら・・・いいな・・・。
そんなことを考えているうちに、直接由紀ちゃんに聞いてしまう。
何を聞いているんだ、俺は。
もし、“義理です”なんて言われたら傷付くのは俺なのに。
しかも、ちょうどバスが来たところだ。
ここは、何も無かったことにしよう。
「・・・なんてね、別に答えなくても──」
「茂木さんがこうだといいなって思った方です!!」
「──え?あ、ちょっと、由紀ちゃん!?」
冗談ってことにしようとした矢先、由紀ちゃんが真っ赤な顔をしながらそう告げてバスの中に駆け込んでいく。
・・・俺がいいなと思った方・・・ってことは・・・本命・・・?
「・・・マジか・・・」
バスが出発してどんどん遠ざかっていくのを見ながら呟く。
力が抜けていき、その場にしゃがみこんで頭を抱える。
やば・・・顔、あっつ・・・。
2月14日、バレンタイン当日。
皆がチョコを欲しているなか、俺は差し出されるチョコを断り続けていた。
「なぁ、要。お前、なんでチョコ受け取らねーの?めっちゃ渡されてんのに」
仲のいい男子が席に座りながら不思議そうに問いかけてくる。
俺だって、受け取れるなら受け取りたい。
実際、去年まではそうしてたし。
だけど、今は──
「今年は好きな子からしか受け取らないって決めてるんだ」
「えっ!?なになに、要って好きなやついんの!?」
「まぁ・・・いるよ」
頬を掻きながら素直に答える。
誰かまでは教えないけど。
「へぇー。で?その子からはもらえそうな感じ?」
「そうだね・・・去年ももらったし、今年も用意してくれるんじゃないかな?」
あくまで、俺の希望的観測だけど。
「ふぅん。ま、頑張れ。俺は他のクラスに行ってチョコねだってくるわ」
そう言ってくれた友人は、立ち上がって隣のクラスにチョコをもらいに行ってしまった。
だけど、どれほど待っても由紀ちゃんはチョコを渡しには来ず・・・部活が始まる時間になってしまった。
渡すタイミング、逃しただけなのか・・・それとも、渡す気がないのか。
だけど・・・由紀ちゃんのことだから、用意はしてくれてそうなんだよな。
希望的観測でしかないけど、そんな気がした。
そういうのもあって、部活が終わる時間まで待ってから差し入れを持って部室まで足を運ぶ。
2人共まだ帰っていなかったみたいで、会うことはできた。
ピザまんを茉弘ちゃんに渡していると、由紀ちゃんから声をかけられる。
手を後ろに回して、何かを隠している様子の由紀ちゃんに、俺はすごく期待した。
チョコ・・・もらえるかな?
そんなことを考えたけど、その場では渡してもらえなかった。
まぁ、茉弘ちゃんもいたし、渡しづらかったのかな?
そう考えて、2人きりになれる状況を作った。
だけど、いまだに渡そうとしない由紀ちゃん。
体の後ろに何かを隠しているのに、だ。
しびれを切らした俺は、バレンタインのことを話題に出す。
今年もらったチョコが0個だということも、もらえるかもしれない子がいるということも。
すると、由紀ちゃんは自分の背中に隠していた何かを俺の目の前に突き出してきた。
それは、可愛くラッピングされた手作りチョコだった。
良かった・・・貰えた。
でも、これって・・・本命?
本命だったら・・・いいな・・・。
そんなことを考えているうちに、直接由紀ちゃんに聞いてしまう。
何を聞いているんだ、俺は。
もし、“義理です”なんて言われたら傷付くのは俺なのに。
しかも、ちょうどバスが来たところだ。
ここは、何も無かったことにしよう。
「・・・なんてね、別に答えなくても──」
「茂木さんがこうだといいなって思った方です!!」
「──え?あ、ちょっと、由紀ちゃん!?」
冗談ってことにしようとした矢先、由紀ちゃんが真っ赤な顔をしながらそう告げてバスの中に駆け込んでいく。
・・・俺がいいなと思った方・・・ってことは・・・本命・・・?
「・・・マジか・・・」
バスが出発してどんどん遠ざかっていくのを見ながら呟く。
力が抜けていき、その場にしゃがみこんで頭を抱える。
やば・・・顔、あっつ・・・。