* * *

「ごめん、遅れた!」

「大丈夫ですよ、僕も今きたところですから」

今から2年前、待ちあわせ場所に走ってやってきた私に碧流くんは言った。

「珍しいですね、風花さんが遅刻なんて」

そう言った碧流くんに、
「原稿の締切が明日までで、それを仕上げてたら遅くなっちゃって…」
と、私は言った。

本当は朝の7時まで仕事して、それから寝て起きたら夕方の4時になっていたと言う訳である。

碧流くんとの待ちあわせは5時で、大急ぎで準備をしていたら遅刻してしまったのだ。

「ああ、それで…大変ですね」

「原稿の締切も関口女史に無理を言って先延ばしにしてもらったんだよね」

「先延ばし?」

碧流くんが聞き返してきたので、
「成海から何も聞いていないの?」
と、私も聞き返した。