「ーー本当に、誰に言われたんだろう…?」

カーテンから光が差し込んでいる。

枕元の目覚まし時計に視線を向けると、10時を過ぎていた。

夜ではなく、朝の方である。

ーーあなたは人を好きになるとかそう言うのってないよね

先ほどの夢を振り返るけれど…やっぱり、思い出せなかった。

そもそもいつだったのか誰に言われたのかすらも思い出せない。

と言うか、
「何で今さら思い出しちゃったんだろう…?」
と、考えてみるけれどわからなかった。

思い出せないものは思い出せないし、とっとと起きることにしよう。

碧流くんはすでに起きたらしいなと思いながら私は躰を起こすと、寝室を後にした。

「ーーあれ…?」

いつものようにリビングに顔を出したけれど、そこに碧流くんはいなかった。