「おもしろかったです」

「そ、そうですか…」

もっと他に感想はないのかと言う話だけど、ダメ出しでも聞かされたら立ち直れないような気がするので黙っておくことにした。

「永井先生、あまりしゃべらないんですね。

比嘉さんからよくおしゃべりをしてくれる楽しい人だと聞いていたんですけれど」

「えっ、ああ…」

比嘉女史よ、私に対して何ちゅー印象を後輩に話してくれたんだ…。

もちろん、比嘉女史に悪気はないのはわかっている。

「実は、男の担当さんがついたのは初めてでどう接したらいいのかわからなかったもので…」

「ああ、そう言うことだったんですか。

てっきり先生に嫌われたんじゃないかと思って気になったんです」

「ごめんなさい、何か誤解させてしまったみたいで」

古賀さんにそう言って謝ったその時、ジーンズのポケットに入れていたスマートフォンが震えた。