碧流は突っ伏していた顔をあげると、
「風花さんは浮気なんてしない!」
と、腹の底からの大きな声で元気よく返事をした。

…まあ、そうだろうな。

「風花さんがかわいかったからキスをしたんだ…」

「ぶっ飛ばそうか?」

この世の終わりかと思うくらいの落ち込み具合を見せられた後に聞かされた惚気話に俺はどうしろと言うのだろう。

「おっとりとしているようでしっかりしている風花さんの慌てっぷりがかわいかったからつい…」

「何の話だよ」

俺のリアクションは間違ってないよな?

「その後で風花さんから同意を得ていなかったことに気づいたんだ」

「んなことを言われましても…」

俺はどうしろと言うんだ、どう答えろと言うんだ。

両手で頭を抱えた碧流に俺は何をすればいいのかわからない。