「風花さんからの同意を得ずにキスをした」

…はて?

何も言えないでいる俺に、
「風花さんに無理矢理キスをした」
と、碧流は言った。

…俺は何を聞かされたと言うのだろうか?

「間違いなく風花さんに嫌われた…」

碧流は嘆くように言ったかと思ったらテーブルのうえに突っ伏した。

…何じゃこいつ、何じゃこいつは。

まるでこの世の終わりかと疑いたくなるようなその落ち込み具合に、俺は某キモダチ芸人よろしくのセリフを言うことしかできなかった。

まずは、事情聴取から始めることにしよう。

「何で無理矢理したんだ?

風花が浮気でもしたのか?」

他人に興味がなさ過ぎる姉が浮気なんて言う人としての道を外すとは到底思えないけど…と思いながら、俺は碧流に聞いた。