「それで…永井は友達がいないのかよ」

一緒に体操をしながら、僕は成海に向かって声をかけた。

他人のことは言えたものじゃないけれど、僕は彼のことが気になった。

「友達はいる」
と、成海は答えた。

いるのかよ…と、僕は心の中でツッコミを入れた。

となると、同情で声をかけられたらしいなと我ながらひねくれたことを思った。

「髙嶋っていつも1人でいるじゃん」

「…ああ、いるな」

それがどうしたと思いながら僕は言った。

「何でいつも1人なんだろうなと思って気になってたんだよ」

「話せば長くなるぞ」

「えっ、何か訳ありな感じ?」

「ああ、充分に訳ありだ。

そのうえ、ここで話すと都合が悪いからあまり人前ではしたくないんだ」

理解したのか、成海は口を閉じた。