両親が所謂“内縁”と言うヤツで、住んでいた区の学校ではなく隣の区の学校に通っていた。

近所の噂を恐れてか、それとも僕が学校でいじめられるんじゃないかと言うのを恐れてなのかはよくわからないけれど、そんな子供時代を僕は過ごした。

そう言った環境だから小学校では友達と呼べる存在はいなくて、学校が終わるとすぐに教室を出て真っ直ぐに家に帰ると言うルーティンだった。

永井成海と出会ったのは中学2年生の時、同じクラスになったことがきっかけだった。

彼の存在は入学式の時にクラス…いや、学年の女子たちが“美人がいる”と大騒ぎになるくらい話題にあがっていたのでよく知っていた。

その言葉通り、彼は“美人”だった。

真っ直ぐな黒髪に端正な顔立ち、華奢なその躰つきは宝塚歌劇団の男役かと思ったし、まさに“美人”と言う文字が服を着て歩いていると思った。