私が碧流くんに出会ったのは高校2年生の時、成海が彼を家に招待したことがきっかけだった。

「…よし、これでいいか」

自室で携帯電話を使って去年から執筆を始めたケータイ小説での投稿をこの日も行っていたら、玄関のチャイムが鳴った。

「誰だろう?」

そう思いながら玄関に行ってドアを開けると、そこに立っていたのは1人の男の子だった。

ゆるくウェーブがかかっている黒い髪に黒縁眼鏡が特徴的な彼は誰だかわかった。

成海の友達の髙嶋碧流くんだ。

いつも碧流くんのことを話しているから彼が誰なのかすぐにわかった。

「もしかして、弟ーー成海の友達かしら?」

そう声をかけた私に、
「そ、そうです…あの、こんにちは…」
と、彼はあいさつをしてきた。

「こんにちは、すぐに成海を呼んでくるから待ってて」

私は碧流くんに返事をすると、成海を呼びに足を向かわせた。