マズい…と、私は思った。

すぐに戻ってくるつもりだから画面はそのままにしていたし、碧流くんもゴミを回収したらすぐに書斎から出て行くだろうと思っていたし…何より、彼は仕事に口を出すことなんてないだろうと思っていた。

「へ、碧流くん…?」

さすがに自分と成海がモデルになっている…と言うことはわからないだろうな。

「風花さん」

碧流くんは私の顔を訝しげに見つめると、
「この登場人物、俺と成海に似ているような気がするんですけれど」
と、言った。

「気のせいだと思うよ?

何で私が自分の夫と弟をモデルにしないといけないのさ」

笑いながらごまかすことを試みるけれど、訝しんでいる碧流くんのその表情は変わらなかった。

 * * *