漫画家の遊佐先生と彼女の担当編集者である比嘉女史が書類ーー私が書いた脚本に目を通している。

この時間はとても長いので、いつまで経っても好きになれないうえに待つことにもなれない。

ダメならダメだと早く言ってくれ、私はそんなことで根に持つタイプの人間じゃないから。

会社の近くのカフェでテイクアウトしたブラックティーを口に含んで気を落ち着かせようとするけれど、やっぱり落ち着かない。

2人は脚本から顔をあげると、
「これ、めちゃくちゃいいです!」
と、私に向かって叫んだ。

「でしょでしょ!?」

やった、褒められた!

2人の反応に私は嬉しくて両手をあわせた。

「特にこのイタルくんがわがままで自信家な性格なのに、実は甘えん坊で気持ちいいことが好きで抱かれたらドロドロになっちゃうところとかがかわいくてかわいくて…ギャップ萌えが」

遊佐先生はきゃーきゃーと叫びながら悶えている。