その足で洗面所へ駆け込むと、
「あー、質が悪い…」

私は息を吐いた。

目の前の鏡に視線を向けると、
「何ちゅー顔をしているんだよ…」
と、自分の顔に向かってツッコミを入れた。

鏡の中の私の顔は真っ赤だった。

碧流くんは頼れる反面、こう言うところの質が悪いと思う。

仕事を理解してくれることや家事全般を引き受けてくれていることは、本当に感謝している。

とは言え…今は自分の夫と実の弟でいろいろと妄想して遊んでいる訳だし、あろうことか漫画原作として出してしまった訳だしと、我ながらいろいろと罪悪感がひどい。

「本当に言えないよね、うん…」

碧流くんは仕事を理解してくれているけれど、その詳しい内容までは知らないからなおさらである。