今のは反則でしょうが…!?

自分でも何が反則なのかはわからないけれど、今のはずるいにも程がある。

手元に残っている板チョコアイスを口に入れて、脈を打っているこの気持ちを落ち着かせる。

これは、もしかしなくても使えるんじゃないかしら…!?

「風花さん?」

碧流くんが名前を呼んだかと思ったら顔を覗き込んできた。

「碧流くん、近いから…」

すすっ…と彼と距離を取った私に、
「そうですか?

いつも通りの距離だと思うんですけれど」

碧流くんは距離をつめようとする。

自覚がないのが質が悪い、これがいつも通りな訳があるか、距離感がバグってるどころの問題じゃないぞ。

「さ、先に寝るから…じゃあ!」

私は碧流くんに返事をすると、逃げるようにリビングを後にした。