風花さんから離れないといけないような気がして、何となく遠くへ行きたいような気がして…彼女がまだ眠っている間に簡単に荷物をまとめると、家を出た。

特に行きたいところがある訳じゃないけれど、足が向くまま気が向くままに進んだ。

何も言わずに突然家を出たから、風花さんはどう思うだろうか?

でもいい意味でも悪い意味でも彼女はマイペースだから心配すらもしてくれなかったりして…と言うのは、ちょっと言い過ぎか。

さすがに起きてメッセージのひとつふたつはきているだろうと思ったけれど、
「きていないか…」

スマートフォンを確認した僕は息を吐くと、カバンの中に入れた。

風花さんらしいと言えば風花さんらしいな。

どこで感心しているんだと、我ながらそんなことを思って自嘲気味に笑った。