「碧流くん」

その手を自分の方へと引き寄せると、
「わっ…!?」

彼がこちらに向かってきたので私はその背中に自分の両手を回した。

「ふ、風花さん?」

碧流くんが戸惑っているのがわかった。

そんな彼の耳元に唇を寄せると、私は言った。

「お帰りなさい、碧流くん」

碧流くんが驚いたのがわかった。

そんなことを言われるとは思ってもみなかったのだろう。

碧流くんの両手が私の背中に回ってきたかと思ったら、
「ただいま、風花さん」
と、言った。

「碧流くん」

私はもう1度彼の名前を呼ぶと、
「大好きよ」
と、言った。

先ほど見た夢のせいなのか、碧流くんが帰ってきたからなのかはわからないけれど、自分の気持ちを伝えるならば今しかないと思った。