「ーー風花さん…?」

その声に目を開けると、誰かがベッドの近くにいることに気づいた。

えっ、ドロボー…ではないよね、寝る前に戸締まりの確認をしたんだから。

そう思いながら声の主の姿を確認すると、
「ーー碧流くん…?」

そこにいたのは、碧流くんだった。

「えっ、何で?」

どうして碧流くんがここにいるの?

と言うか、いつ家に帰ってきたんだ?

それよりもどこへ行っていた、1週間も留守にして何をしていたの?

いろいろと言いたいことはあるけれど、
「夢じゃないんだよね…?」
と、私は言った。

「夢じゃないですよ」

碧流くんはさわってみろと言わんばかりに自分の手を差し出してきたので、私はその手を重ねた。

彼の体温と手の感触に、目の前にいる彼はホンモノなんだとそんなことを思った。