「無理って…」

私はそんなにも無理をしているように見えたのだろうか?

碧流くんは妙に勘がいいから、正直なことを言うと侮れないな。

「風花さんももう若くはないんですから気をつけてください」

「何じゃそりゃ」

まあ、事実と言えば事実なのだが…。

だけども、他人からそんな風に声をかけられたのは初めてだったので何だか照れくさかった。

それくらい私のことをよく見ているんだなと思ったのと同時に、自分が碧流くんを好きになっていることに気づいた。

彼のことが嫌いだったと言う訳ではないーー碧流くんと交際している時点でそうなのだがーーけれど、私の中でいつの間にか彼が特別な存在へと変化しているのがわかった。

「行きましょうか」

そう言って今度は碧流くんが手を引いたので、
「うん、行こうか」

私は返事をすると、一緒に歩いた。

 * * *