荷物を抱えながら、教室に向かう。カバンはまだ教室にあるので1度戻らなければ行けなかった。
生徒会の会議がある時はいつもこう。
私はため息をつきながら教室のドアを開けた。
「美晴!なんで先に教室戻るのよ!」
ドアを開けるなり私はそう叫ぶ。
これも毎度のこと。放課後の遅い時間は教室には誰もいない。たった一人を除いて。
「あら、もう終わったの?凰月くんとのイチャイチャは」
「美晴ー!楽しまないでよ!」
長い髪をポニーテールにしてきっちりと結んでいる彼女は私の声に反応して振り向く。
お人形さんみたいな美人な彼女は私の友達で生徒会の仲間である古城美晴(こじょうみはる)。
美晴は表情筋ひとつ動かさずに冗談みたいなことを言う。笑顔じゃないからこそ怖い。美人だから無表情だと尚更だ。
「ごめんごめん。でも毎度の事ながら真夜も会議の後よく引っかかるわよね」