この状況を上手く呑み込めず、一人呆然とする。なんでここに和泉と零都がいるの?
そんな疑問が頭の中を埋め尽くす。
「チッ。後少しだったのに……!くそっ、仕切り直しだ!」
「おい、待て!」
ぼーっと突っ立っていると一人の男が逃げ出す。それを零都が追いかける。
「真夜、怪我は?」
「だ、大丈夫……」
零都の後ろ姿を見ていたら和泉が急に振り返り私の肩を掴む。心底心配したような声色で、何度も何度も聞いてくる。
その声を聞いて私はやっと安心した。
「良かった。ったく、何絡まれてんだ!俺がどれだけ心配したかわかってんのか」
「ごめんなさい。なんか視線はずっと感じていたんだけど、大丈夫だと思って和泉に何も連絡せずに来ちゃった」
……ここまで怒った和泉は初めてかもしれない。だけど怒られて当然だ。
自分の身を自分で守れなかったのだから。
彩華学園の生徒会長として、自己管理ができないなんて……。