私はそっと息を潜め、戦闘態勢に入る。大きな体に勝てる自信はないけど逃げて一撃くらいなら追わせられるかも。
腕を掴まれながら歩き、逃げるタイミングを見計らう。
でも。
今だ、と思っても体が思うように動かない。体が固まって。自分でも思ってるよりも恐怖を感じているのかもしれない。
「……おい、もう少し早く歩け」
一人の男に、足を蹴られた。
相当イライラしているのだろう。ガンっ、という鈍い音が足のくるぶしから聞こえる。
話さないのをいいことに、何をしても大丈夫と思ったらしい。私はいつ逃げようか考えていただけなのに。
私は……そこら辺の女子高生とは少し違う訓練を受けたのだ。ただのか弱い女子高生では無い。
「……痛いわね。もっと優しくしなさいよ」
足を蹴られ、私もイラつきが急上昇した。
今まで大人しく従っていたけどそろそろ反撃してもいいですかね?
ようやく、体がこの状況に慣れた。