恐怖から働かなかった頭の中がようやくクリアになる。


冷静に声を聞き分けるまでに気持ちは落ち着いた。


私の事、知ってるってことは和泉と関係あるのかな?



「ああ?別にいーだろ、ちょっとくらい」


「良くねぇよ。くだらないことしてねぇでとっとと車乗せるぞ。早くしねぇとめんどくせぇのに見つかる」



そこまで会話を聞いて理解した。


この人達は多分暴走族の人だ。


めんどくせぇのに見つかるって……。和泉、この人たちにいったい何をしたんだろう……。



「おい、動け。今からいいところに連れてってやるから」



腕を掴んでいた男は、固まっている私を無理やり歩かせる。


だけど、私はその場を動かない。


ここを動いたら危ないのは分かりきっているから。


……どうする?少し、反撃してみようか……?