私たちの扱いに慣れている零都は織愛ちゃんを引き剥がすと仁科くんの方へと引き渡す。
……というか、仁科くんはさっきからスマホばかり弄っていてこちらのことは全然気にしてない。
音ゲーをしているのか指がすごく早く動いていた。そのせいか金髪に染め上げた髪がゆらゆらと揺れている。
相変わらずすごい髪色。
本当なら校則違反なので、その髪色はダメなんだけど家が学校にお金入れてるとかなんとかで彼は何故か許されている。
「あれ?そういえば宇佐美くんは?」
ソファに座り、荷物を置いて当たりを見渡す。そういえば生徒会メンバーのもう1人、宇佐美漸(うさみぜん)が見当たらない。
「あー、アイツは……」
「街中で喧嘩ふっかけられて、まんまとそれに乗ってるらしいよ?遅くなるってさっきグループの方にメッセージきてたよ♡」
零都の説明を遮るように織愛ちゃんがスマホを私に見せつけてくる。