和泉には申し訳ないけど、その後の話は頭の中に入ってこなかった。
恋愛対象外の話を聞かれていたら私はもう立ち直れないかも。別に和泉に恋愛感情を抱いている訳じゃなない。
でも、“恋愛対象外という訳でもない”。
あの言葉は本心じゃなかった。
ただ美晴にからかわれて咄嗟に出た言葉。
どうしよう、という言葉が頭の中を埋め尽くす。
「おい、真夜?大丈夫か?」
「和泉、ごめん!私先に帰る!」
「え?あ、おい!」
この場の空気に耐えられなくなって逃げるように、掴まれていた腕を離す。そして私は全速力で駆け出した。
止める和泉の声に振り向きもせず、ただひたすらに家を目指した。
はぁ、はぁと息切れするがそれもお構い無し。