後ずさる私を見て目を泳がせながら答える和泉。これは多分……いや、絶対にかなり前からいた感じだ。
……わかる。わかるよ、和泉。
今更私に嘘つこうとしないでよ?!
「う、嘘っ!絶対嘘!ついさっきなわけないじゃない!」
「おい、真夜!悪かったって。待てよ!」
そのまま後ずさる私の腕をパシッと掴む。
……掴まれた腕が熱い。そこだけ、ジンジンと熱を帯びたように熱くなる。
男の人特有の、大きな手を見つめて、私の動きは止まった。誰も居ない廊下。夕日が傾き、オレンジ色の日差しが窓から降り注ぐ。
「真夜、一緒に帰らねぇ?……って、かっこよく誘いたかったんだけど、古城と話してるところに出くわして完全にタイミング見失って……あー、カッコ悪……」
戸惑う私を見て、ため息を着く和泉。
だけど私は、その話を聞いて心臓が止まりそうになるほど驚いた。
……え?待って、まさか……。
和泉が恋愛対象云々の話から聞いてたってこと……?