一通り私の話を聞いた後、美晴は何事も無かったかのように席を立ち、荷物を持ってそそくさとこの場を去ろうとする。
「え?もう帰るの?!」
ハッとして時計を見ると時刻は午後六時三十分。
そろそろ最終下校時刻のアナウンスがなる頃だ。会議もしていたから時間が過ぎるのはあっという間だ。
「帰るわよ。真夜の愚痴を聞いてるほど暇はないの。この後塾があるからお先」
焦る私を置いて、そのまま教室を出ていってしまった。
……帰る約束はしてなかったけど、もうちょっと優しくしてよー……。
そう心の中で思ってしまった。
美晴は時間を無駄にしたくないタイプ。大事な用事があれば何があっても容赦なくバッサリと切り上げる。
そんなところがみんな冷たいとか言っているけど、私は逆に美晴のことに憧れを持っていた。
美人で自分の意見を言えてかっこいいなって。だから本当は美晴が生徒会長をやってくれれば1番だったのに。