その後は大変だった。
騒ぎを聞いて駆けつけた先生たちによって仲裁された二人だったが、その日のお迎えで親にも報告され、保護者を交えて互いに謝り合う事態になったのだ。
事情を聞いた母は優里がなぜそんな行動をしたのかの事情は汲んでくれつつも、「手を出してはだめでしょ」と厳しく言い聞かせると健太郎と彼の母に共に頭を下げた。
優里の母は普段はとても優しいのだが、怒るととても怖い。優里は久しぶりに母親に怒られてしまい、健太郎に「ごめんなさい……」と謝りながらポロポロと涙をこぼした。
一方健太郎のほうも、気弱そうな母親が何度も丁寧に頭を下げ、息子にも謝罪を促す。
しかし彼は不貞腐れた顔のまま「ごめん」と一言だけ発するとそっぽを向いてしまい、その後は全く口を開かなかった。
結局、子ども同士の喧嘩ということで大事にはならなかったその日の出来事だったが、優里にとって何よりも大変だったのは、なかなか理玖が泣き止まなかったことだ。
お隣同士ということで、その日も迎えにきた互いの親と一緒に四人で帰ったのだが、理玖は帰り道の間もずっと涙を流していた。
既に泣き止んでいた優里はそんな彼の手を握って隣を歩く。
「りっくん、そろそろなきやんでよ」
「でも、ボクのせいでゆうちゃんが……」
「りっくんのせいじゃないでしょ。悪いのはいじわるしたけんたろうくんだから。なにかあったらまたわたしに言うんだよ?」
「……うん。ありがとう」
やっと涙が止まった様子の理玖はそう言って微笑むと、優里のことを真っ直ぐに見つめながら握っていた手をギュッと強く握ったのだった。
騒ぎを聞いて駆けつけた先生たちによって仲裁された二人だったが、その日のお迎えで親にも報告され、保護者を交えて互いに謝り合う事態になったのだ。
事情を聞いた母は優里がなぜそんな行動をしたのかの事情は汲んでくれつつも、「手を出してはだめでしょ」と厳しく言い聞かせると健太郎と彼の母に共に頭を下げた。
優里の母は普段はとても優しいのだが、怒るととても怖い。優里は久しぶりに母親に怒られてしまい、健太郎に「ごめんなさい……」と謝りながらポロポロと涙をこぼした。
一方健太郎のほうも、気弱そうな母親が何度も丁寧に頭を下げ、息子にも謝罪を促す。
しかし彼は不貞腐れた顔のまま「ごめん」と一言だけ発するとそっぽを向いてしまい、その後は全く口を開かなかった。
結局、子ども同士の喧嘩ということで大事にはならなかったその日の出来事だったが、優里にとって何よりも大変だったのは、なかなか理玖が泣き止まなかったことだ。
お隣同士ということで、その日も迎えにきた互いの親と一緒に四人で帰ったのだが、理玖は帰り道の間もずっと涙を流していた。
既に泣き止んでいた優里はそんな彼の手を握って隣を歩く。
「りっくん、そろそろなきやんでよ」
「でも、ボクのせいでゆうちゃんが……」
「りっくんのせいじゃないでしょ。悪いのはいじわるしたけんたろうくんだから。なにかあったらまたわたしに言うんだよ?」
「……うん。ありがとう」
やっと涙が止まった様子の理玖はそう言って微笑むと、優里のことを真っ直ぐに見つめながら握っていた手をギュッと強く握ったのだった。