退屈な授業は幕を閉じ、私達は待ちに待った
お昼休みに突入した。
クラスメイト達の談笑を掻い潜り、私は
いつものように親友の元へ駆け出す。
『ゆい、私ね。新しい彼を作ろうと思うの。
 あの野獣みたいに、肉便器だけの存在
 としてじゃなくて、とびっきりの愛を
 注いでくれる今彼。』

数年ぶりに放った言葉に、ゆいは呆れ顔で言った。
「ん〜。痴舞美は純情だね。もう知ってるでしょ。
 男なんて、金タマのシワで迷路してる
 連中なんだよ。迷路で女を見つけたら即ゴール。
 はい終了。あとは弄ぶだけ、わかる?」
『…そうだね。』
私は鈍器にぶたれた気分だった。
『でも私、もう顔で男選ばないようにしてるよ。
 どうせ時が経てば金タマみたいに
 しわくちゃになるんだし。』
「はぁ〜、そういうことじゃないの。もっと
 痴舞美は男を知るべき。ていうか乳首もない女が
 そんな簡単に彼氏なんてできるわけないから。」
子供に注意を払うお母さんのように、彼女は胸を張って私を見つめた。
『ゆいだって彼氏できたことないくせに。』
「あんたの胸の張り替えしてたら
 彼氏作る暇すらないっての!」
食い気味に言い放つと、俯くように
野獣の席に置かれた避妊具を睨んだ。

「あたしもいつか、あいつに食べられちゃうんだから。
 痴舞美はその間に色んな男を知れ。そうしなきゃ
 理想の彼氏なんて見つからないよ。んじゃ」
彼女は颯爽と購買に向かった。
それはまるで遺言で、ゆいが食べられる未来は確定されたように感じた。
男の人って、みんなそうなのかな…。